秋のモニターツアーレポート

1_DSCF0024

秋の田代を楽しみながら地域住民との交流を深めるモニターツアー

大館市田代地域の自然と文化の楽しみ方を提案するために、季節ごとに開催されているモニターツアー。2023年11月11日(土)に実施された「秋のモニターツアー」では、紅葉の田代岳をe-bikeで駆け抜け、新米のきりたんぽとキノコたっぷりのスープを堪能。さらに、地域の人びとや子どもたちとの親交も深めることができました。

e-MTB体験で田代の紅葉を堪能

2_DSCF0039

秋のモニターツアー最初のプログラムは、夏の撮影会でも大好評だったe-MTB体験。美しい湖面に紅葉の山々を反射させる「五色湖」こと山瀬ダムのほとりにある「五色湖ロッジ」からスタートし、秋の田代の景色を堪能しながら、市街地の近くまで下っていきます。

3_DSCF0043

夏の撮影会に引き続き、指導してくれるのは「スポーツコミッション大館」の田村さんです。e-MTBの機能や注意点の説明を受け、まずは五色湖ロッジの敷地内を軽く走ってみる参加者たち。「普通の自転車とは全然違う!」「アシストが効いていて不思議な感じがする」と大盛り上がりです。

4_DSCF0060

e-MTBは、少し漕ぐだけでまるで背中を押されたようにスイスイ進んでくれるので、坂道・山道もラクラク。紅葉が進んだ田代岳近辺の道路を、落ち葉で滑らないように気を付けながら走ります。澄んだ空気の中を風を切って走り抜ける爽快さは格別!参加者たちからは笑顔がこぼれ、「めちゃくちゃ気持ちいい!」「何往復でもしたい!」という歓声が上がっていました。

集落にある謎の建物「ホラ吹きカフェ」

5_DSCF0120

途中で立ち寄ったのは、田代岳の麓の越山地域・羽立集落にある「ホラ吹きカフェ一休」。「カフェ」と言っても飲食店ではありません。とっても味のある建物の中に、テーブルや薪ストーブなどが設置されています。

6_DSCF0096

地域の人びとが集まって雑談したり、ひと休みしたりするコミュニティスペースとして活用されている「ホラ吹きカフェ一休」。このユニークな施設を立ち上げたのは、同集落に住む石井充伸さんです。看板に書かれた「夢を語(しゃべ)ろう」という文字の通り、夢を大きく持ち、明るく語り合って地域を盛り上げていきたいという思いが込められています。

7_DSCF0092
9_DSCF0105
9_DSCF0114

温かいコーヒーと、集落の畑で採れたサツマイモ、そして「たしろラズベリー研究会」のラズベリーで作ったムースをいただいてひと休み。寒風に晒された身体に、優しい甘さが染み渡ります。

地域住民との思わぬ交流も

10_DSCF0140

ホラ吹きカフェを出て再びe-MTBで走ること数分。地元の商店「笹木商店」の前で二度目の休憩タイムです。

DSCF0150
DSCF0142

温かいレモネードと一緒にいただくのは、白神生ハムといぶりがっこチーズのカナッペです。

もはや全国でも定番の組み合わせとなった「いぶりがっこ×チーズ」。田代地域の山田集落で作られている「しらかみフーズ」の生ハムでぐるりと巻いて、クラッカーと一緒にいただきます。生ハムのまろやかな旨味とほどよい塩気、いぶりがっこの食感が小気味よく、おつまみにもおすすめの食べ方です。

13_DSCF0155

偶然通りがかった地域住民との交流も、このモニターツアーの醍醐味。わざわざ車を停めて「何してるの?」と声をかけてくれる人や、田代地域のおすすめスポットを教えてくれる人も少なくありません。ツアー中に出会うたくさんの住民から、地元・田代に対する深い愛をひしひしと感じます。

14_DSCF0159
15_DSCF0174

ゴールまでもうひと踏ん張りです。心地よい秋晴れの中、見渡す限り田園風景が広がる農道を、e-MTBでグングン駆け抜けます。都会では決して見ることのできない、この贅沢すぎるほど広々とした光景に、時折感嘆の声を漏らす参加者もいました。

秋の絶品ソウルフードで田代を味わう

16_DSCF0198

いよいよ、e-MTB体験のゴールである「ユップラオートキャンプ場」に到着しました。こちらでは、地元の旬の食材をふんだんに使った贅沢ランチをいただきます。

18_DSCF0190

田代地域で育った比内地鶏の贅沢な丸焼き。大館市の比内地域で毎年冬に開催される祭り「比内とりの市」では、約15mの鉄串に比内地鶏を刺して焼く「千羽焼き」が販売され、毎年行列ができるほどの人気を誇っています。

19_DSCF0275

愛知県の「名古屋コーチン」、鹿児島県の「薩摩地鶏」と並んで「日本三大美味鶏」に数えられる比内地鶏は、ギュッと旨味が詰まった弾力のある肉質が特徴。噛めば噛むほど口の中に広がる濃厚な旨味に、箸が止まらなくなります。

一合釜で炊いた新米のあきたこまちで作る「一合たんぽ」。水は、世界遺産・白神山地のブナの森が育んだ超軟水の「白神山水」を使用しています。

炊き上がったご飯を潰して「はんごろし」にし、串に付けて焼いていきます。

22_DSCF0294
23_DSCF0301

参加者の中には、初めてきりたんぽ作りを体験したという人も。「ご飯が言うことをきかない!」と四苦八苦する姿に笑い声が響き、和気あいあいとした雰囲気で盛り上がっていました。

24_DSCF0221

比内地鶏のガラでとったスープに、10種類のキノコが入った特製キノコ汁。かつて田代地域で開催されていた祭り「キノコ祭り」でふるまわれていたレシピを、田代地域の産直施設「たけのこ館」が継承した、スペシャルな一品です。

DSCF0230

田代岳では数えきれない種類のキノコが収穫できますが、その中でも、アミタケやサモダシ、ムキタケ、ギンダケなど、スープに適したキノコを厳選して使用。田代の味を知り尽くした地元住民だからこそ作れる絶品スープです。

26_DSCF0239

この特製キノコ汁にきりたんぽを投入。大自然の中で、寒さも疲れも忘れるランチタイムのスタートです。

26_DSCF0298
27_DSCF0242

 

田代の住民のソウルフードともいえるキノコ汁に、炊き立ての新米で作ったきりたんぽ、そして田代で育った比内地鶏。土地の恵みをしっかり堪能し、大満足のランチタイムとなりました。

28_DSCF0305

締めのデザートは、田代地域の老舗菓子店「小間屋明照堂」の「プリンポッシュ」。

DSCF0316

生クリームと一緒にクレープ生地に包まれているのは、なんとプリン!優しい甘さと柔らかさで地域の人びとに愛されている、田代のご当地スイーツです。

地元の小学生と一緒にe-bike&薪割り体験会も

30_DSCF0473

お腹が満たされた後は、産直施設「たけのこ館」へ移動します。この日たけのこ館では、地元・山瀬小学校の6年生による「やませっ子マート」が開催されていました。

31_DSCF0372
32_DSCF0390

小学生にもe-MTBを体験してもらいました。たけのこ館から300mほどの位置にある山瀬小学校までe-bikeで移動し、そのままグラウンドを走ります。

普段から自転車に乗り慣れている田代の子どもたちですが、少しの力でどんどんスピードが出るe-bikeに大はしゃぎ。「めっちゃ早い!」「怖いけど、楽しい!」と大満足の様子でした。

初めての薪割り体験にドキドキ!

33_DSCF0405
34_DSCF0438

広葉樹薪の店「火の香」の工藤智也さんによる薪割り体験も行われました。工藤さんから斧の構え方や振り下ろす時の腰の入れ方を教わって挑戦します。体験した子どもたちは、初めての薪割りに四苦八苦しながらも、楽しそうな笑顔を見せてくれました。

35_DSCF0448
36_DSCF0456

斧だけでなく、軽い力で焚き付けの用の薪を作れる薪割り器など、さまざまな道具が用意されていました。

大館市の家庭では、昔から一般的に薪ストーブが使われてきました。年配の方が多い田代地域では、今でも日常的に薪ストーブを使っている家が多くあります。とはいえ、薪割りをしたことがあるという子どもはあまりいないのではないでしょうか。子供たちにとっても、地元・田代の伝統的な暮らしに触れるいい体験になったはずです。

37_DSCF0486

これまでのモニターツアーの活動展示も。季節ごとにさまざまな表情を見せてくれる田代地域の自然と、温かい住民たちが作り上げてきた文化の魅力を、これからも発掘し、伝えていきたいですね。

夜は地元の住民たちと親睦を深めます

39_DSCF0519
40_DSCF0535

モニターツアーの日程が終了した後は、たけのこ館に隣接する「レストラン鳳(おおとり)」で、地元住民との懇親会が行われました。手づくりの温かさを感じるおいしい料理の数々をいただきながら、地元住民も、東京からの参加者も入り混じり、さまざまな話に花を咲かせました。

田代地域の人の温かさを感じた一日

43_DSCF0270

どこまでも広がる晴天かと思えば、雪がチラつく寒さも見せ、まさに秋の空といった天気の中で行われた秋のモニターツアー。参加者たちは、不安定な天気をものともせず、笑顔でe-bikeを走らせ、紅葉と雪の珍しいコントラストを楽しんでいました。地元住民との交流も深めることができ、大満足の一日となりました。

さて、次回は冬のモニターツアーです。雪深い田代の冬を、どんなアクティビティで楽しむのでしょうか?楽しみにお待ちくださいね!

ライター:丹波桃子