冬のモニターツアーレポート

雪国ならではの遊びを満喫!冬のモニターツアー

大館市田代地域の自然と文化の楽しみ方を提案するために、季節ごとに開催されているモニターツアー。2024年2月17日(土)に実施された「冬のモニターツアー」では、白銀に染まった冬の田代岳で、思いっきり雪遊びアクティビティを楽しみました。さらに、比内地鶏をはじめとする地元の食材をふんだんに使った新感覚のキャンプ飯も登場しましたよ!

今回は海外からのお客さんも一緒に大館を満喫

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国内外から多くのお客さんを迎えた今回のツアー。大館能代空港では、大館市の観光キャラクター、秋田犬のハチくんと一緒に、タイから来訪した皆さんを元気いっぱいお出迎えしました。

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一見シャイに見えますが、実はとてもホスピタリティが高く、おもてなしが大好きな大館市民。一生懸命練習したタイ語で歓迎します。

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昨年一位のきりたんぽ鍋に舌鼓

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お出迎えの後は空港内のレストラン「ポートワン」でランチタイムです。

メニューはもちろん大館市を代表する郷土料理「きりたんぽ鍋」。

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もともとマタギの携帯食であった「きりたんぽ」を、大館市の料亭が初めて鍋料理として確立し、お客に提供したことから、きりたんぽの本場として知られている大館市。

毎年秋には「本場大館きりたんぽまつり」が開催され、市内の飲食店や食品業者が自慢の味を競い合います。

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その「きりたんぽまつり」で、昨年グランプリに輝いた「ベニヤマきりたんぽ工房」のきりたんぽ鍋がこちら。たっぷりの比内地鶏ガラでとったコクのある極上のスープは、「ベニヤマの一滴」と呼ばれています。

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大館に住む人びとにはとても馴染み深いきりたんぽ鍋ですが、他の地域から訪れた人からは、いつも新鮮な感想を聞くことができます。

今回も、初めてきりたんぽ鍋を食べたという人が多く、「きりたんぽにスープの味が染みていておいしい」「想像よりも食べごたえがある」と大好評でした。

雪山ハイキングでかんじき&スノーシューを体験

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空港でランチを堪能した後は、田代岳に移動して雪遊びを楽しみます!

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まずは、かんじきとスノーシューを履いて、冬の田代岳でスノートレッキング体験です。

かんじきの結び方を教えてくれるのは、「田代岳を愛する会」の登山ガイド、渡辺道雄さん。田代の山を知り尽くした大ベテランです。

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「マタギ結び」と呼ばれる秋田の伝統的な結び方を教わり、四苦八苦しながらもかんじきを装着していきます。

「この結び方は、山で怪我をした時に三角巾で固定する方法と同じ。覚えておくと役に立ちますよ」と渡辺さん。「山歩きは怪我がつきものなので、気を付けて向かいましょう」という言葉に気を引き締めつつ、初めてのかんじき・スノーシューにワクワクが抑えきれません。

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真っ白い新雪に覆われた山道を、かんじきやスノーシューを履いた足で歩きます。ブーツや長靴よりも荷重が分散されるため沈みにくく、滑り止めの効果もあります。

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誰かが長靴で歩いた場所にはこんなに深い穴が。一度嵌まってしまうと抜け出すのが大変です。

そんな冬の山道を安全に歩くために、遠い昔から受け継がれてきた先人たちの知恵が、かんじきです。

「靴と違って滑らないから歩きやすい」「沈んでもちゃんと途中で止まる」と、雪道に不慣れな参加者たちからも感動の声が上がっていました。

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「人が作ったコースではなく、自分の好きな道を自由に歩けるのが雪山トレッキングの醍醐味」と渡辺さんが話すように、登山道や、夏の間生い茂っている笹が、すっかり雪の下に隠れてしまった田代岳。薄暗く神秘的ないつもの森の様子とは対照的な、抜群の見晴らしと明るく澄んだ空気を堪能できるのが、この時期の山の魅力です。

「空気がおいしくて気持ち良かった!」

心からの笑顔が参加者たちから零れます。

スノーボードじゃない?新雪の上で贅沢に「雪板」遊び

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スノーボードによく似た木製のお手製ボード「雪板」を持ってきてくれたのは、大館市内の飲食店「バー クラッカー」を営む虻川貴之さん。アウトドアとDIYが大好きな虻川さんが、整備されたスキー場ではできない、とっておきの雪山遊びをレクチャーしてくれます!

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滑り方はスノーボードに似ていますが、雪板は木の板に流れ止めのロープがついた簡易的な作りで、金具で足を固定しません。そのため、特に乗りはじめはバランスをとるのが難しく、スノーボード経験者でも勝手の違いに苦労することも。

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重心を移動させて止まったり、大きく曲がったりすることができないため、止まりたい時は思い切って転ぶのが雪板の楽しみ方。ダイナミックな楽しさに、誰もが童心に返って大はしゃぎしていました。

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大騒ぎの参加者たちを尻目に、美しい曲線を描きながらスイスイ滑っていく虻川さん。さすがです!

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整備されたスキー場のゲレンデと違い、誰も踏んでいない新雪を滑り抜ける快感は格別!奥深い山でしかできない贅沢な体験に、初めのうちは恐る恐るといった様子だった参加者たちも、最後にはみんな笑顔になっていました。

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お尻で滑る簡易ソリ、「ヒップソリ」も登場。雪国である大館市では、冬になると子どもたちがヒップソリで遊ぶ姿を街じゅうで見かけますが、雪国以外に住む人にとっては新鮮なアイテムのようです。

存分に雪山を楽しみ、時間いっぱいまで笑い声が飛び交っていました。

五色湖キャンプ場で楽しむ冬のアクティビティ

雪に芝生が覆い隠され、辺り一面白く染まった冬の五色湖キャンプ場でも、冬ならではのアクティビティを楽しみました。

まずは、薪専門店「火の香」を営む工藤智也さんによる薪割り体験。古くから薪ストーブとともに冬を越してきた田代の人びとの暮らしと文化に触れる体験です。

元小学校教員の工藤さん。慣れた様子でユニークなレクチャーを繰り広げ、参加者を楽しませてくれました。

次はテントサウナ体験です。

暖冬とはいえ、やっぱり寒い五色湖エリア。ロウリュウの蒸気で体の芯までポカポカに。その後、パチパチと燃える焚火を眺めながらのチルタイムで心身を休めます。

ソリ遊び体験では、雪が積もった斜面をゴミ袋一枚で滑り降りました。

雪国の冬は、そこらじゅうが子どもたちの遊び場。道具も設備も必要ありません。

シンプルですが、真っすぐ滑るのは意外と難しいもの。勢いよく転んで歓声を上げたり、俯せになって頭から滑ってみたりと、みんな子どもに戻って大はしゃぎしていました。

バケツを使ったスノーキャンドル作りも行われました。

バケツの真ん中に、空洞を作るための筒を入れ、周囲に雪をギュッと固く詰めていきます。

最後にバケツをひっくり返すと、雪でできたキャンドルの中心には綺麗な空洞が。ここにロウソクを入れて灯篭にします。

日が落ちた頃、スノーキャンドルをズラリと並べて火を灯すと、こんなに幻想的な風景に。

身近にあるものをフル活用し、暮らしを充実させてきた雪国の人びと。その知恵と生活、遊びを、心ゆくまで満喫しました。

比内地鶏の新しい食べ方を楽しむ「キャンプ飯」

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雪遊びでヘトヘトになった後は、絶品キャンプ飯の時間です。

五色湖キャンプ場で、新感覚のアウトドアメニューをいただきます。

今回のメインは、地元食材を生かしたタコス風料理。用意してくれたのは、東京都渋谷区に本社を持つ比内地鶏料理のお店「本家あべや」です。

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代表取締役社長の小笠原伸也さんは、2022年に比内地鶏の本場である大館市比内町へ移住。

今回は、比内地鶏をアウトドアでおいしく食べるために試行錯誤して生み出したという、タコス風の料理を提供してくれました。

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きりたんぽをプレスして焼いたモチモチ・カリカリの皮を、トルティーヤの代わりに。

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炭火で丸焼きにし、旨みがぎゅっと詰まった比内地鶏。

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大館市の特産品である枝豆。こちらは秋田県でしか作られていない「あきた香り五葉」という品種です。甘みのある濃厚な味と強い香り、大粒でプリッとした食感を持ち、一度食べたら毎年食べたくなると、全国的に高い人気を誇っています。

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2種類のチリソースに、パクチー、玉ねぎ、レモンなどのトッピングがズラリ。お好きなものを添えてオリジナルタコスを作ります。

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生地と具のつなぎにすると旨みが増す枝豆ペースト。

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完成したタコスは、枝豆を使ったスープ、郷土料理の馬肉煮込みと一緒にいただきます。

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お昼にいただいたきりたんぽ鍋や比内地鶏とはまったく違う食感の、斬新なアイディアで生まれた絶品料理。

地元・大館が誇る「おいしいもの」に、更なる可能性を感じるひとときでした。

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雪板を教えてくれた虻川さんによるドリンクブースも。冬キャンプでいただくオーダーカクテルは最高です!

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会場に施された装飾は、毎年2月に開催される大館市の伝統的な祭り「アメッコ市」を模したもの。

2日間、商店街の通りにズラリとアメの屋台が並び、「アメッコ市のアメを食べると一年間風邪を引かない」という言い伝えも。

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コロンとかわいらしいピンク色の飴は、「枝アメ」と呼ばれ、アメッコ市の季節になると、大館市じゅうのミズキの木に飾られます。

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田代岳山頂にある神社から、アメを買い求めに降りて来るといわれている「白ひげ大神(しらひげおおかみ)」の姿も。

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お隣は秋田犬の陸奥(むつ)くん。モフモフの癒しフェイスでみんなを虜にしていました。

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参加者たちに振舞われたアメ。これで一年間風邪知らずです。

他都市とともに地域創生を語り合うフォーラムも開催

モニターツアーの後には、キャンプ場内に設置されたテントを会場に、「第4回 ノアソビSDGsフォーラム in 大館市」が開催されました。

地域資源を生かした「野遊び」を通して、各都市が地方創生に取り組んでいる「ノアソビSDGs協議会」。大館市と、北海道芽室町、三重県いなべ市の3都市は、情報共有や交流を重ねながら切磋琢磨してきました。

フォーラムには、大館市の福原淳嗣市長、芽室町の手島旭町長が参加し、いなべ市の日沖靖市長がオンラインで参加。各地域の取り組みや今後のビジョンを紹介した上で、専門家を交え、地域の未来と守るべき自然文化について意見を交わしました。

雪国・大館を楽しみ尽くした一日

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真っ白に染まった山の中で思いっきり体を動かして雪遊びを楽しみ、清冽な水と豊かな土壌に育てられた「大館の味」を存分に味わった冬のモニターツアー。大館の貴重な自然が持つ新たな可能性に胸を膨らませる一日でした。

ライター:丹波桃子